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COLUMN 2

「子どもの目線のその先で」

「『うん』の合図はあごを下にするから目をつぶった時が『うん』なんだよね?ちがうって合図は首を振るのと一緒だから、目を右と左に動かすんだよね?」

これは6歳になったばかりの長男に、岡部さんの視線の合図を教えようとしたときの言葉である。なるほど。そうだったか。
今までは当たり前に理解していたが、子どもにとっては初めてのこと。 こういうふうに理解していくものかと感心してしまった。 何でも意味を理解することが大切と思っていながら、息子に逆に教えてもらった瞬間であった。 岡部さんに、透明文字盤で「たいちゃん、ありがとう」と言われた息子はどこか誇らしげであった。




「けいちゃんもやる。」

これは私が岡部さんの上肢をあげるストレッチをしている時に、2歳の次男が自分もやりたいと駆け寄ってきた時の一言だ。 では一緒にやろうと一緒に手を持ち上げようとすると、私の手を制して「自分で。」と言い放つ。
最終的に全身の力を使って岡部さんの右手首をパタパタさせていた。 右の口角を挙げて笑っている岡部さんの顔があった。 何の役にもたっていないけど岡部さんの心のリハビリには貢献したようだ。




6歳の長男にとって、車いすに座った岡部さんの顔と本人の顔はちょうど同じくらい。
2歳の次男にとって、車いすに乗った岡部さんの手の位置と顔の位置はちょうど同じくらい。
二人とも自分の視線のその先で、できる最大限の関わりをしている。
私も自分の視線のその先で、できることをただひたすらやっていくことが、深く大切なことと感じる出来事だった。


境を越えて 事務局次長 / 理学療法士 本間里美
(2019年3月)






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